仕事部屋(書斎)のすべて
家づくりのコンセプトで決めた通り、「実用性に振り切った、一人暮らし用のコンパクトハウス」が最上位のコンセプトです。 そのため、今回一番重要視するのは仕事部屋であり、ここに妥協はできません。 今回の家づくりで一番こだわったのがこの部屋です。
要望
仕事部屋に限らず、要望に部屋の広さ(何畳とかそういうの)は入れませんでした。 「何畳の部屋が欲しい」ではなく、「その部屋で何をするのか」や「どんなものをどれだけ置くのか」を伝え、具体的な大きさはハウスメーカーの方に考えてもらいました。 結果的に、これはとてもよかったです。 結局、一番重要な仕事部屋の間取りが一番気に入った会社を選ぶことにつながりましたが、各社それぞれ個性が出て面白かったです。
- 作り付けの本棚が欲しい
- 作り付けの長い机が欲しい
- 仕事用スペースに最大4台、趣味用スペースに最大2台のノートPCを置くスペースが欲しい
- 高さは90cm程度で、奥行きはノートPCが置ければ十分
- 仕事用と趣味用で椅子は2つ置く
- 壁につけるタイプのモニターアームへの対応
- 34インチウルトラワイドモニターを2つ
- PCのパーツ類格納用のちょっとした収納も可能なら欲しい
仕事部屋に置くもの
各部屋に置くものを細かく決めていたおかげで、コンセントをどこにどれだけ作るのかにも役に立ちました。 これもやってよかったことです。
出来上がり
照明がつく前なので暗くていい感じの写真があまりないですが、こんな感じになりました。
実用性も雰囲気も、めちゃくちゃ気に入っている部屋です。
間取りについて
めちゃくちゃ気に入っているポイントの1つ目なんですが、まずは平面図を見てください。
普通、部屋と言ってイメージするのは四角形だと思いますし、自分もそういう先入観がありました。 しかし、最終的に頼んだハウスメーカーは部屋の中に壁を作り、本棚のスペースを確保するという部屋を提案してくれました。
これが実用性も確保しつつ「奥まった感じ」を演出していて、注文住宅じゃなければこれは実現しなかっただろうな、という点でポイントが高いです。 部屋の広さとしては6畳以上と、書斎としてはかなり大きめなんですが、壁があるおかげでだだっ広さは感じず、むしろ丁度いい「おこもり感・秘密基地感」があります。
机も長いので作業しやすいですし、北側と南側で仕事用、趣味用と使い分けられるようになっています。 仕事用、趣味用のどちらがわに座っても、机がL字型に使えるようになっているのも実用性がめちゃくちゃ高くて素晴らしいです。
そして、本棚は3段のものが合計約5.2m、2段のものが約2.6mを確保しているため、本1冊あたりの厚みを3cmとしても、690冊以上が格納できるキャパシティがあります。 1冊あたり3cmは余裕をみた設定なので、実際には700冊以上のキャパシティがあり、2段や3段までという制約があるにもかかわらず、仕事部屋だけでここまでの量の本棚が確保できたのは嬉しい誤算でした。
動線についても触れておくと、下の図の赤い点線で囲われた部分とトイレを1階に、青い点線で囲われた部分を2階に配置しています。
また、仕事部屋は玄関に近いため、仕事をしているときに配達等があっても対応が楽です。 日中は1階のみで移動が完結するのもコンセプトが実現されているため素晴らしいです。
ホコリのたまる余地の排除
基本的にはルンバが掃除してくれますが、床以外はルンバが掃除してくれないので、ホコリがたまってしまいます。 そういう箇所は大掃除などのタイミングで掃除することが多いと思うのですが、面倒ですよね。 なので、そういう面倒を極力減らすために、ホコリのたまる余地は徹底排除するつもりで色々と考えました。
まず、どういったところに埃がたまるのかです。
- 巾木の上の細い部分
- ドア枠の上の細い部分
- 窓枠の上の細い部分
そのため、巾木はなし、ドアはハイドアで天井付け、窓は三方クロス巻き込みを希望していました。 契約前はどれもできるという話で、設計の段階で詳細を詰めるという話だったのですが、結局のところ巾木はあり、窓も枠付きしかできないことが分かりました。
巾木はまだ位置が低いためあきらめもつきますが、窓の上はさすがに面倒です。 ここは譲れないので代替案を考えてもらったところ、窓の上端を天井につけることでホコリがたまる余地がないようにしてはどうか、というアイディアがでました。 ホコリさえたまらなければ何の問題もないため、すべての窓の上端を天井の高さに合わせてもらいました。
また、照明もホコリがたまるポイントになります。
- シャンデリアやペンダントライトは傘の部分にたまる
- 間接照明も基本的にはホコリがたまるし、掃除は困難
- 間接照明にも種類があり、コーニス照明であればホコリがたまらないようにもできる(参考: 壁面照明のイロハ⑤ ~コーブ照明とコーニス照明の違い~)
そのため、基本的にはダウンライトを選びました。
地震対策
地震対策というと、家具や家電の固定が話題に上がることが多いですが、それは「揺れているときに動かないようにする」ための方策です。 せっかく注文住宅で建てるんですし、「そもそも揺れにくいようにする」ための方策も採れます。
重要なのは2点*1です。
- 背の低いものは背の高いものに比べて揺れにくい
- 重心が低いものは重心が高いものに比べて揺れにくい
これらから、2階建てよりも平屋の方が揺れに強く、天井高の高い家よりも天井高の低い家の方が揺れに強いことが分かります。
また、背を低く、重心を低くすると揺れにくくなることもわかります。
仕事部屋には大量の本があるため、これらを高い位置に置いてしまうのは地震対策の観点から避けたいです。 そこで、本棚は3段までとして、さらに2階ではなく1階に配置しています。
注文住宅でよく見る、壁一面の本棚に憧れがないわけではありませんが、一番上の棚とか、アクセス性が悪いので使いにくく、掃除もしにくいじゃないですか。 「実用性に振り切った、一人暮らし用のコンパクトハウス」というコンセプトからすると、そういう憧れだけのものは排除です。
また、地震対策ではなくホコリがたりにくくするという面から来たものですが、本棚の奥行きもギリギリにしています。 3段の本棚は高さもギリギリにしているため、地震でも飛び出しにくくなっているはず*2です。
本棚の地震対策で、できるならやりたかったこととして「棚を傾けて飛び出しにくくする」というのもあったのですが、そうなるとかなり複雑な造作となるためこれはあきらめました。 ハウスメーカーではなく、造作が得意な工務店であればそういったこともやってみても面白いかもしれません。
その他一般的な項目
コンセントについて
コンセントについては、極力外壁側の壁に付けないようにしました。 外壁側の壁には断熱材が入っています。 コンセントを外壁側の壁に付けるということは、その部分の断熱材を削る、ということです。 計算値的には気にする必要のない欠損かもしれませんが、実際に作業する大工さんの腕が悪いと計算値以上の欠損になってしまう恐れがあります。 そのため、極力そういったことに左右されないようにコンセントの位置には気を付けました*3。
数については、電源が必要なものとその置き場所を考えたことで出しました。 仕事部屋では11か所にコンセントを付けてもらいました。 だいぶ多いですが、今のところ使っていないのは1か所のみ*4なので大成功でしょう。
高さについても基準となる高さを決めたうえで、そこから外れるものについて一つ一つ指定をしました。 図面だけでなく、上棟後にコンセント打ち合わせという形ですべてのコンセントの位置や高さについて確認を取りました。 コンセント打ち合わせでコンセント関連の図面がおかしいことに気づけたので、これは是非やった方がいいです。
形については、天板よりも上に出るコンセントは通常のものではなく、横長のコンセントにしてもらうように希望を出しました。 しかし、そのタイプのコンセントは省令準耐火構造でないため使えないという話でいったん取りやめになりました。 そんなものかー、と思ってあきらめようと思ったんですが、聞くだけならタダだと思ってメーカーに「省令準耐火構造のものはないか」と問い合わせたところ、実は最初に使おうと思っていたものがそうだと分かったためそれを使ってもらうようにしました。 こんな感じで、設計の人も情報が正しくない場合がちょくちょくあるため、自分で情報を集めることも大切です。
仕事部屋ではPC関連の機器をメインで使うということで、アース付きのものや3ピンのものも使う可能性が高いため、ほぼすべてのコンセントをそういったものに対応したコンセントにしました。 また、念のためCAT6AのLANケーブルも配線してもらったのですが、最初にルーター等の設定に使ったあとは使っていません。
それと、部屋の写真を見て気づいた方もいるかもしれませんが、コンセントカバーなどの色が白になっています。 これは施工ミスで、設計の段階で黒を指定していたため、後日すべて黒に取り替えられました。
スイッチについて
スイッチは次のような原則を定めました。
- 一番大きいスイッチがそのエリアの照明
- 同じ大きさのスイッチが上下に並んでいる場合、上からメインに近い順で配置し、換気扇がある場合は常に一番下に配置
こうすることで「あれ、これどこのスイッチだっけ?」を極力なくすことに成功しました。 原則に合わない場合、そもそもそこにスイッチがあるのが適切なのか?ということを考えるきっかけにもなりました。 こういう原則を決めておくのも、その場その場で決めるよりも一貫性が持たせられて覚えやすさにつながるのでお勧めです。
エアコンの位置について
エアコンの位置は当初、東側の壁に付いていました。 しかし、椅子のある場所に近いと音も気になりそうですし、風も直接当たって気になりそうだったので、西側に移動しました。
また、エアコン用のコンセントの位置もエアコンの上側に指定して、目立ちにくい位置にしました。
壁紙について
壁紙は最初、標準のものを選んでいました。 しかし、標準のものだとやはりイメージと違ったため、イメージに合うものを選んで変えました。 天井の壁紙は標準のものですが、こっちは標準でもかなりいい感じです。
床も壁も天井も暗い色で、個人的にはめちゃくちゃ気に入っているんですが、親には不評でした。
カーテン・ロールスクリーンについて
壁紙に合いそうな色のものをいくつか見せてもらい、その中から選びました。
リビング以外はカーテンではなく、ロールスクリーンにしました。 これはインテリアコーディネーターさんがそのように選んだのをそのまま採用しています。 カーテンよりもすっきりした印象になり、個人的には気に入っています。
窓について
気密性も確保できますし、大きな窓はいらなかったので、窓は基本的に縦辷出し(すべりだし)窓にしました。 本当はドレーキップ窓を使いたかったのですが、仕様にないとのことであきらめました。
換気について
実は1階にも2階にも熱交換換気システムが入っているのですが、フィルターの掃除の際に虫に対処しないといけないということで一回もonにするつもりはありませんでした(し、実際一度もonにしていません)。 なら外せばよかったじゃん、という話になるんですが、この部分を入れること前提で値引きをしていたということで、外せませんでした。これ、最初から言っていたのに入れられてしまっていた納得いっていない部分です。2階の熱交換換気システムはかなりゴツイものが入っていて、なんだかなぁと感じます。
そんな理由から、第三種換気(自然給気+機械排気)用の給気口や換気扇をいくつか追加しています。 その一つが仕事部屋(書斎)の南側にあり、自然給気用の給気口を付けています。 これがなんと白しかないということだったので、目立たない位置ではあるんですがスプレーで黒く塗ってより目立たなくしました。
床について
床を張る方向については、平面図にもある通り短手方向に貼りました。 これは入り口から見た圧迫感を減らしたかったからです。 これはすべての部屋で基本的に統一した考え方にしています。
気に入っている点
- 壁の使い方
- 本棚
- 作り付けの机
- 雰囲気
- 使いやすさ
今回の家づくりでメインとなる部屋で、この部屋の出来が最重要だったわけですから、細かい部分以外は気に入っています。 特に、部屋の中に壁を設けることでできた空間はこの家の中でも最も気に入っている場所です。
失敗した点
逆に失敗した点もあります。 大きくは失敗していないのですが、もうちょっとうまくやれた部分はいくつかあります。
キーボードトレーの取り付け
これは最初から伝えていた部分なのですが、机の高さはキーボードトレーを取り付けることを前提にmm単位で調整しました。 ですが、このキーボードトレーを取り付けるためには天板を補強しなければいけないことが分かり、補強分の4~5mm、想定よりも下に付くことになりました。 それによってキーボードの位置が手を自然に置いた場所より下に来てしまっているため、プチストレスです。
取り付け方まで共有すれば回避できたとは思いますが、「これを付ける」という話を最初からしていたので、まさか付けられないものを選ばないだろうと思ってしまっていました。
床の見切り材
床の見切り材についてはどんなものが付くかの話が全くありませんでした。 結構幅のあるプラスチック感満載なものが付いているため、これは選べるなら選びたかったです。
ただ、見切り材なんで後からDIYで交換も可能だろうし、そこまで気にしていません。
エアコン
これはハウスメーカーにではなく、ダイキンに対してのものです。 ダイキンはrisoraというめちゃくちゃおしゃれなエアコンを出していて、今回はこれを3台採用しました。 このエアコンの最大の特徴は、色が選べるところにあります。 そのため、仕事部屋には黒いものを選びました。
こんな組み合わせのものです。 が、電源ケーブルが白いのです。
本体カラーをダークグレーにしてるなら、電源ケーブルも黒でしょそこは・・・
なんというか、中途半端です。
クロス
クロスに関しては、職人が悪かったのか、全体的に雑です。 あまりにひどいところは指摘して直してもらったのですが、場所によっては直してもらう前の方がマシだった部分もあります。 これ以上変にされてもな・・・ということで、そのまま放置していますけど、なんだかなぁ、と感じる部分です。
また、木目クロスは全体的に失敗でした。 波打ってるところはあるし、はがれてくるし、傷もつきやすいしで、微妙すぎます。
インターホン
仕事部屋が玄関に近いのはいいんですが、インターホンはLDKにしかないのでいちいちLDKまで行って相手を確認して出るというのが面倒です。
これについては、子機を増設しようと思っています。
ただ、ホワイト系の子機しかないのがちょっと微妙なんですよね。 パナソニックさん、照明器具とかコンセントとかでは黒いの出してるんだし、インターホンも黒いの出してくれないかな。
下地補強
平面図を見てもらうと分かる通り、下地補強をしてもらいました。 しかし、モニターアームを取り付けるためにはこの下地では不十分なので、結局心材が通っている位置にモニターアームを取り付けてもらうことになりました。 完全に不要でした。
窓の軒・庇
東側の窓は軒があり、さらにカーポートの屋根もあるのでいいのですが、南側の窓には軒・庇がありません。 そのため、雨が降ると窓に直接雨粒が当たり、そんなに強くない雨でもまぁまぁ音がします。 分かっていれば庇を付けたのになぁ、という部分です。
*1:本当は、工法の違いの話もしたいのですが、仕事部屋の記事ではないなということでここでは触れません。
*2:飛び出しにくさを考えるなら、奥行きはあったほうがいいんですが、ここでは掃除しやすさを撮りました。飛び出てきたとしても座っている状態で肩より下なので、何冊も頭にめがけて飛んでくるようなことはないだろう、という考えからです。また、天板は奥行きがすこしあるため、上方向に飛び出しにくくなっているはずです。
*3:エアコンのコンセントを最初天井付けにしようとしていたのですが、どこかのタイミングでやめてしまったため、外壁に接するエアコン用のコンセントはそのまま天井付けにしておけばよかったです。
*4:しかも、予備として付けたもの。