一人暮らしITエンジニアの家づくり

一人暮らし用の注文住宅に関する経験を共有します。

家づくりのコンセプトを決める

前回で現状を分析して、ある程度自分の考えが理解できました。 次にやったのが、コンセプトの決定です。

家づくりにおいて、あれもこれもと入れ込もうとしても、お金は無限にあるわけではないので無理です。 そのため、そういう判断が必要になったときのために指針(コンセプト)となるものを考えました。

再掲ですが、前回わかったことは下記のとおりです。

  • 仕事部屋さえあれば、広さは今でも満足している
  • 掃除のしやすさを重視している
  • 理想とする家事動線がある
  • マンションに向いていない

これをベースに、次のようなコンセプトを作りました。

  • 実用性に振り切った、一人暮らし用のコンパクトハウス
    • 「働ける間の仕事環境」全振り
    • 掃除が楽
    • 地震・水害に強い
    • 駐車場付き
  • 上記以外は一般的に言われるようなものであっても切り捨てる
    • 物理的な広さ
    • 明るさ(窓の数・大きさなど)
    • 交通の便

コンセプトを決めたことで、どういう住み方がしたいのかがぼんやりわかってきました。 ここからさらに具体的な項目に落とし込んでいきました。

ここでは、コンセプトの各項目を掘り下げます。

コンセプト

コンセプトにはサブコンセプトを設け、各項目ごとにゴールを見失わないようにします。

「働ける間の仕事環境」全振り

「妥協しない、最高の仕事環境」がサブコンセプトです。

  • 独立した仕事部屋
  • 最低400冊、できれば 500冊程度の本が収納できるスペース
  • 2m以上の長い机

掃除が楽

「ルンバが掃除できないところを作らない」がサブコンセプトです。

  • ルンバフレンドリー
  • ホコリのたまる余地の排除
    • カーテンレールは天井付け
    • 窓枠やドア枠をなくす
    • 巾木はなし、無理なら極力薄く
    • シャンデリア、ペンダントライト、壁付け照明、コーブ照明など、ホコリがたまる照明は排除
    • 目線よりも高い棚は設置しない
  • 掃除のしやすい窓

地震・水害に強い

「被害を受けたとしても命は落とさない」がサブコンセプトです。

  • 耐震等級3
    • 掃き出し窓など、大開口は作らない
  • 基本的には、腰高以上の高さに物を置かない
    • 本棚も例外ではない。そのため、本棚は注文住宅の例でよく見る壁いっぱいのものではなく、3段程度に抑える
  • 家具類の固定
    • 本棚や机は造作にして、極力家具を置かない
  • 水害対策に、2階建て
    • 2階からの脱出も考えて、窓も人が通れる程度の大きさは確保

駐車場付き

「雨に濡れずに出入りできる駐車場」がサブコンセプトです。

  • 車は1台止められればOK
  • 車から玄関まで屋根付き
  • 駐車場以外は砂利で、シンボルツリー等は不要

切り捨て項目

コンセプトを掘り下げる段階では切り捨て項目の方は見ていなかったので掘り下げなかったのですが、 今思うと切り捨て項目も掘り下げておいた方がよかったな、と思います。 ここでは、現時点での考えも交えて切り捨てた項目も掘り下げ、実際にどうなったかも合わせて紹介します。

物理的な広さ

コンパクトハウスなので、注文住宅でよくある「大きなリビング」とか「開放的な吹き抜け」とか、横にも縦にも広さは不要です。

ただこれは、ハウスメーカー各社のアピールポイントを殺しまくっていて申し訳ない気持ちになりました。

  • LDKは今の部屋と同じくらいの大きさでいいです!寝室はむしろ狭くしたいです!」
  • 「吹き抜けとか要りません!むしろ天井は低い方がいいです!」

こんなかんじだったので。

まず、「大きなリビング」に代表されるような、横の広がりについてです。 横に広がりを持たせるということは、それだけ大きな土地が必要になるということです。 つまり費用が掛かります。 家は坪単価で表されることもあるように、面積はかなり価格に跳ねてきます。 現状の広さに満足しているのであれば、無理に広くする必要はありませんので、これを求めなかったのは正解でした。 ただ、寝室を小さくしてその分玄関に回せていればもっとよかった*1のですが、当時は玄関の狭さに気づいていませんでした。

次に、「開放的な吹き抜け」に代表されるような、縦の広がりについてです。 他にも、「天井高2.7m」みたいなパターンもあります。 しかし、背の高いものは背の低いものよりもよく揺れますので、建物の背は低い方が耐震性には有利です。 また、家づくりのためによく見たページでこのようなトピックが扱われていました。

暮らしやすい天井の高さを解説します - お節介親父のつぶやき モリシタ・アット・ホームの代表ブログ

外観もどっしりした家の方が格好いいことを考えると、低い天井はアリではないでしょうか。

ただし、「物理的な」広さは不要ですが、「感覚的な」広さはあって困るものではありません。 背の高いものは基本的には置かないという掃除や耐震性のためのコンセプトが、実は感覚的な広さのために効果があったりするのですが、それについてはまた別の機会で紹介します。

明るさ(窓の数・大きさなど)

賃貸で借りていた部屋では、掃除などの空気の入れ替え以外で窓を全く開けませんでしたし、 カーテンも遮光性能が良いものを閉めっぱなしにした生活をしていました。 これでも全く問題を感じませんでしたし、「南側の窓からいっぱい陽の光を取り入れたい!」みたいな思いも全くありませんでした。 むしろ、窓を大きくすると耐震性も下がるし断熱性も下がるので、極力大開口みたいなものは取りたくなかったです。

実際には、採光がある一定以上取れないと居室として扱えないという制約があったため、リビングには大きな窓と掃き出し窓が付いてしまいました。 今思うと、いっそのこと居室にカウントできなくてもよかったのでは?と思わなくもないです。

そして、今のところどの窓もカーテンは閉めたまま、開けることもないです。 ちなみに、トイレやお風呂にはそもそも窓をつけませんでしたが、マンションではそれが普通だったため何の問題も感じていません。 むしろ、ホコリがたまる箇所が削れているので自分にとってはプラス*2です。

交通の便

仕事では出張があるため、新幹線が通っている駅へのアクセスの良さは必須でした。 ただし、歩くのは苦ではなかったため、最寄りの鉄道駅までの徒歩時間はかなり緩めに設定しました。 駅近だとやはり土地代が高くなりますので、最寄駅からの徒歩時間が30分以上でもよいという条件にしました。

また、交通の便とは違いますが、周辺施設へのこだわりは一切ありませんでした。 スーパーにしたって病院にしたって、閉店することは考えられるので、これを条件にしてしまうと閉店してしまった際にショックが大きいです。 それなら、最初から期待しておかない方がいいです。

土地関連では、都市ガス、本下水道整備済みは条件にしたのと、海抜0メートル以下を避けるというのも条件にしました。

実際には、駅まで徒歩10分、隣がコンビニという結構いい土地*3が見つかりました。 ただし、これは条件から外れているので、あくまでおまけと考えています。

コンセプトがどれくらい実現できたか

コンセプトがどれくらい実現できたか

実用性に振り切った、一人暮らし用のコンパクトハウス

実用性に関してはほぼ満点、コンパクトハウスというにはちょっと大きくなってしまいました。

サブコンセプトは次の通りです。

  • 妥協しない、最高の仕事環境 → 〇
  • ルンバが掃除できないところを作らない → 〇
  • 被害を受けたとしても命は落とさない → 未評価
  • 雨に濡れずに出入りできる駐車場 → △

独立した仕事部屋

かなり広めの仕事部屋兼書庫を確保できました。

最低400冊、できれば 500冊程度の本が収納できるスペース

地震のことを考えて3段までという制約がありましたが、余裕でクリアできました。 めちゃくちゃ気に入っているポイントの一つです。

2m以上の長い机

こちらも余裕でクリアしています。

ルンバフレンドリー

トイレと階段以外はすべてルンバが掃除できます。

ホコリのたまる余地の排除

  • カーテンレールは天井付け → 〇
  • 窓枠やドア枠をなくす → △
  • 巾木はなし、無理なら極力薄く → △
  • シャンデリア、ペンダントライト、壁付け照明、コーブ照明など、ホコリがたまる照明は排除 → 〇
  • 目線よりも高い棚は設置しない → 〇
  • 掃除のしやすい窓 → 〇

窓枠は最初確認したときになくせるという話だったのに、契約後にできなくなった、と言われました。 ただし、枠の上端を天井に合わせる位置にすることで回避しました。

巾木は契約前に「そのあたりは設計の時に決められる」という話だったのに、結局無理でした。 契約前の話は議事録等に残したとしてもあまり意味がありませんでした。

耐震等級3

達成しました。 掃き出し窓は作ってしまったものの、親世代からすると窓は小さいし少ないと好評(?)です。

基本的には、腰高以上の高さに物を置かない

達成しました。

家具類の固定

達成しました。

水害対策に、2階建て

達成しました。窓も、自分が通り抜けられる大きさを確保しています。

車は1台止められればOK

達成しました。軽なら2台止められそうですが、カーポートの屋根からはハミ出ます。

車から玄関まで屋根付き

達成したといえなくもないです。 運転席からだと微妙に濡れてしまうので完全ではないですが、おおむね満足しています。

駐車場以外は砂利で、シンボルツリー等は不要

達成しました。駐車場とアプローチだけコンクリートで、あとは砂利です。 駐車場とアプローチの部分は一部が砂利になっていて、その部分だけ白い砂利を入れているのですが、それがなかなか気に入っています。

全体

全体を見ると、結構達成できています。 コンセプトを作ったことで、軸がブレない家づくりができたと思っています。

*1:実際には寝室は2階で玄関は1階なので無理です。1階を広げるためには土地を大きくするしかありません。また、そうしてしまうと1階と2階のバランスが崩れるため、ただでさえ持て余している2階の広さがさらに広くなってしまいます。

*2:ただ、停電時にお風呂の湿気が抜けないという懸念点はあります。頻度を考えるとそこまで大きなことではないと思ってはいます。

*3:隣がコンビニというのは、騒音問題も起こる可能性があって人によってはいい土地ではないかもしれないです。